税理士事務所の記帳入力、顧問先ごとの時間を見える化する方法|AIで「入力」を「確認」に
この記事の要点
- 記帳の入力時間は、料金に関係なく毎月かかり、事務所の負担になりやすい
- まず顧問先ごとに入力時間を記録し、人件費に置き換えて見える化する
- 減らし方は「資料の出し方の工夫」「人を増やす」「入力そのものを減らす」の3つ
- AIを使うと、職員の仕事は「入力」から「確認と修正」に変わる(判断は人が行う)
記帳代行は、顧問契約とセットで引き受けることが多い業務です。 料金表どおりにいただけるとは限らず、顧問先との関係を考えて、割安な金額で引き受けているケースも少なくないと思います。
一方で、入力にかかる時間は、料金に関係なく毎月かかります。 領収書が多い月、整理されていない資料が届いた月、慣れた職員が休んだ月。 その分の時間は、事務所が負担しています。
福岡市で中小企業の経理の仕組み化に携わってきた経験から、この記事では、記帳の入力時間が事務所の利益をどれだけ使っているかを見える化する方法と、時間を減らす考え方をまとめます。
入力時間は「見えにくいコスト」になりやすい
記帳の入力は、申告や相談に比べて、時間を測られることが少ない業務です。
- 職員が空いた時間に少しずつ進めている
- 繁忙期は所長が夜に入力している
- 顧問先ごとに、どれくらいかかっているか把握していない
こうした状態だと、どの顧問先に、どれだけの時間を使っているかが見えません。 顧問先が増えるほど入力の量は増えますが、そのたびに人を増やせるわけではありません。
まず「顧問先ごとに何分かかっているか」を記録する
最初にやることは1つだけです。 顧問先ごとに、入力にかかった時間を記録することです。
- 始めた時刻と終わった時刻を、顧問先ごとにメモする
- 1〜2か月続けて、平均をとる
- 顧問先ごとの月の時間を並べてみる
これだけで、「思っていたより時間がかかっている顧問先」がはっきりします。 資料の出し方をお願いするときや、担当の割り振りを見直すときにも、根拠になる数字です。
時間をお金に置き換えてみる
時間が分かったら、1時間あたりの人件費をかけて、お金に置き換えてみます。
入力にかかる人件費 = 月の入力時間 × 1時間あたりの人件費
1時間あたりの人件費は、給与だけでなく社会保険料なども含めて考えます。 たとえば、当社のテストでは領収書500枚を手で入力すると約3時間20分かかりました。 1時間あたりの人件費を2,500円と仮定すると(事務所ごとに実際の金額に置き換えてください)、
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入力時間 | 約3時間20分(約3.3時間) |
| 1時間あたりの人件費(仮定) | 2,500円 |
| 1社・1か月の入力にかかる人件費 | 約8,300円 |
これが顧問先の数だけ、毎月かかっています。 しかも、この時間は**入力する人によって変わります。**同じ500枚でも、慣れた職員と入ったばかりの職員では、かかる時間がまったく違います。
時間を減らす方法は、大きく3つ
- 資料の出し方を工夫してもらう 月ごとに封筒を分ける、ホチキス留めをしないなど、顧問先にお願いするだけで整理の時間は減ります。
- 入力する人を増やす 処理できる量は増えますが、人件費も増え、教育にも時間がかかります。採用も簡単ではありません。
- 入力そのものを減らす 通帳はCSVで取り込む、領収書はAIで読み取って仕訳の候補をつくる、といった方法です。職員の仕事は「入力」から「確認と修正」に変わります。
3つ目の方法で、当社のテストでは領収書500枚の処理が約3時間20分から約50〜55分になりました(スキャン・読み取り・確認と修正・会計ソフトへの取込を含む時間)。 1社あたり約2時間30分の時間が生まれる計算です。
※処理時間は当社テストでの目安です。資料の状態(折れ・ホチキス留め・向き・整理の具合)によって変わります。
AIで読み取る仕組み(OCR)については、次の記事でも詳しく説明しています。
AIを使っても、最後に判断するのは人
AIで読み取った結果は、あくまで仕訳の候補です。 科目の判断や、読みにくい資料の確認は、これまでどおり職員の方が行います。
変わるのは、ゼロから打ち込む時間が、確認して直す時間に置き換わることです。 入力の正確さを保ったまま、手を動かす時間だけを減らす、という考え方です。
生まれた時間を何に使うか
入力の時間が減ると、その分を別の仕事に回せます。
- 新しい顧問先を引き受ける
- 職員の残業を減らす
- 月次の報告を早める、顧問先との相談の時間を増やす
- 所長が本来の仕事(申告・助言・営業)に時間を使う
どれに使うかは事務所ごとに違いますが、まず入力時間を見える化することが出発点になります。
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まとめ
- 記帳の入力時間は、料金に関係なく毎月かかり、事務所の負担になりやすい
- まずは顧問先ごとに入力時間を記録し、どこに時間を使っているかを見る
- 時間を人件費に置き換えると、負担の大きさが分かる
- 減らし方は「資料の出し方を工夫してもらう」「人を増やす」「入力そのものを減らす」の3つ
- AIを使っても判断は人が行い、変わるのは「入力」が「確認」になること
よくある質問
- Q. 記帳の入力時間は、どうやって測ればよいですか?
- A. 顧問先ごとに、入力を始めた時刻と終わった時刻をメモするのが一番簡単です。1〜2か月続けて平均をとると、顧問先ごとの月の入力時間が分かります。
- Q. AIで読み取った仕訳は、そのまま使えますか?
- A. そのまま確定させるのではなく、仕訳の候補として扱い、職員が確認・修正してから確定するのが基本です。手書きやかすれなど、人の目でも読みにくい資料はAIでも正しく読めません。
- Q. 領収書500枚の入力には、どれくらい時間がかかりますか?
- A. 当社のテストでは、手入力で約3時間20分でした。AIで仕訳の候補をつくり、職員が確認する方法では、スキャンから会計ソフトへの取込まで約50〜55分でした(資料の状態によって変わります)。
- Q. 顧問先の資料をAIに読ませても大丈夫ですか?
- A. 使うAIサービスの規約で、送ったデータが学習に使われないか、どこに保存されるかを確認することが大切です。事務所の中で、どの情報をAIに入れてよいかのルールを決めておくと安心です。
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領収書500枚、約3時間20分を約50分に。
キフロは、領収書と通帳から仕訳の候補をつくり、職員の方が確認して弥生会計へ取り込む記帳ツールです。関与先1社での無料テストと、デモでの実演を行っています(福岡市内の事務所様)。※処理時間は当社テストでの目安です。